北海道紋別郡遠軽町の戸建2階建て住宅において2001年12月より冬期間に各種温熱環境データの計測とその結果解析ならびに評価を行った。
対象は1階が100.2m2、2階が76.54m2の床面積を持つ2階建て住宅で、中央のリビングには大きな吹抜け空間がある。断熱材は、屋根と基礎に厚さ140mmと75mmのスチレンボード、壁には60mmの硬質ウレタン吹付を行っており、窓には気密性と断熱性の高い樹脂サッシと低放射複層ガラス(空気層12mm)を使用している。暖房は、23時から7時に夜間電力によるレンガ蓄熱暖房を行っている。
図1は外気温が−20°Cまで下がった2002年1月19日と20日の各室の温度変動を示す。
各室の一日の温度変化は、外気温が−20℃となっても20℃をはさんで5℃前後である。直接暖房をしていない部屋(納戸、予備室、小屋裏)も、17〜18℃と各暖房室と同様の暖かさを保っていることがわかる。
これは暖房している部屋の熱エネルギーが薄板軽量形鋼を経由して伝わってきたもので薄板軽量形鋼造と外張り断熱とを組合せた本住宅の大きな特徴である。
図2は、2002年3月16日17時〜17日8時までの外気温、2階床面、床上5cm、床上110cmを10分間隔で温度測定した結果である。各平均温度は外気温が−1.8℃、2階床面と床上5cm、110cmでは、22.4℃、22.0℃、23.5℃となっており、ほとんど温度差がないことがわかる。
図3は日本建築学会が発刊した「住宅の環境設計データブック」に掲載されている「室内外温度差と上下温度差の関係」をあらわした図に、今回物件を当てはめたものだが、高断熱・床暖房住宅と同グループに位置されることがわかり、「2階床は、床暖房しているように暖かく快適」という現象を理論的に裏付けている。